【bbの照明計画について】

http://d.hatena.ne.jp/maestudio2009/20090425/1240667507

前先生がbbの照明計画について痛烈に批評してくださっています。


■白熱灯をメインで使用していることについて


批判のポイントは、
・エネルギー効率が悪い(蛍光灯の5分の1)
・発熱が冷房負荷を増やす
・照度が不十分
の3つです。


僕らが照明計画として考えたことは、自然光利用とタスク照明を組み合わせることで、ベースとしての照明の「存在感をミニマムにする」ということでした。

本を読んだり、物を書きうる場所は前先生が測定したダイニングテーブル以外にも、和室だったり、書斎だったりあると思いますが、ここらの場所も500lxには照度は達していません。でも、全ての場所をオフィスのように机上面照度を均一に500〜700lxにする必要なんてないと考えました。必要であれば、手元照明でタスク照明とすればよいと考えたのです。夜に全ての場所をベース照明だけで完璧な照度環境にするために日中に照明が目につく空間にはしたくないと考えたのです。

これだけ窓を沢山あいているから天空光をふんだんにとりこめる空間です。晴れていれば、日中はほとんど照明がいりません。夜も二人しかいないのだから、配置されている白熱球を全てつけて生活することなんて決してありません。


試算をしてみます。長野県長野市は、一年365日8760時間のうち、日照時間は約2100時間あります。つまり日中は一年のうち半分はベース照明はほとんどいらないことになるはずです。仮に日照があるときは照明をつけないで済み、日照がないときと夜はいる場所だけつけて白熱球6個つけたとしましょう。想定が甘いかもしれませんが、年中家にいると仮定するので、平均すればそんなもので済むと思います。

日中の日照がないときの消費エネルギー:4380h-2100h=2280h →X60wX6コ=820800wh
夜の消費エネルギー:4380h÷2=2190h → X60wX6コ=788400wh
820800+788400=1609200wh →X3.6X10^(-6)=約5.8GJ/年。

前先生の建築学会の論文「用途別エネルギー消費量の年合計および月変動 ー関東地域における住宅のエネルギー消費量に関する調査研究ー 」という論文で、関東地域の住宅のエネルギー消費量を実住宅において実測した結果を報告しています。そこで照明その他(暖房と給湯をのぞいたもの)の戸建平均は8.1GJ/年となっています。

調査対象の住宅は2人〜6人家族まで様々ですので正確な比較はできませんが、2人家族でかつ「照明その他」には家電が含まれることを考えると、照明だけで5.8GJというのは確かにエネルギーを使い過ぎかもしれません。

しかし、
細かくライフスタイルを想定し、自然光利用とタスク照明とを合わせることで、ベース照明をミニマムにする。そしてそのベース照明をもっとも存在感のないものとする。
という大きな方針は間違っていないと思います。

僕らは白熱球にこだわったのではなく、照明の存在感のなさにこだわったのです。もちろん照度等の性能を犠牲にしてよいとも考えていません。

現在においてクリアボール白熱球がもっとも存在感のないものだったので採用しましたが、もし蛍光灯やLEDで同じように存在感がないものがでてくればそれに交換すればよいと考えています。(同じソケットのLED電球が既にでているみたいですね。今は一個2万円もするみたいですが。。)


「照明の存在感をなくすこと」は空間の印象の話です。そういった印象論も「省エネルギー性」と「照度という性能」と同じくらい、住み手にとって大事だと捉え、それをバランスさせたつもりです。ただし、上記のエネルギー消費量試算の捉え方や、照度の捉え方によっては、バランスがとれていないという指摘はごもっともかもしれないとも思います。

今からでも修正できるところは修正したいと思います。


■ダイニングでは目の高さに白熱灯がきていることについて

これはご指摘通りだと思いました。住み手の目を悪くしてしまっては元も子もないので早急に修正しようと思います。アドバイスありがとうございます。


(川島範久)